江戸時代初頭、芳一(蒲池貴範)と名乗る盲目の琵琶法師がいた。幼い頃、母親が野武士たちに犯され、惨殺される様子を覗き見てしまった芳一の目は潰れてしまったのだった。その深い悲しみが、芳一の琵琶の音色をひときわ美しいものにしていた。阿弥陀寺に宿を借りた芳一に、尼(姫川きよは)が妙なことを語る。女人と契れば、ひとときでも苦しみから逃れられる、と。しかし、芳一は女人への興味を抱けずにいた。尼が法事に出かけた夜、芳一のもとに侍女(里見瑤子)が訪れる。彼女の仕える姫(櫻井ゆうこ)が、芳一の琵琶を聴きたいというのだ。演目は、芳一がもっとも得意とする壇ノ浦の合戦だった。しかし、その姫こそが源氏によって壇ノ浦で滅ぼされた平家の怨霊だったのだ!芳一との契りを求める姫。その肌からは、死の匂いがした。芳一が怨霊に呪われていることを知った尼は、一計を企てるが…。